管理栄養士にしかできないこと｜現場経験も踏まえた栄養士との違いを解説

「栄養士」と「管理栄養士」はどちらも食と健康の専門家ですが、管理栄養士にしかできないことや役割の違いは意外と知られていません。

本記事では、筆者の医療・給食現場での経験を交え、栄養士にはできず管理栄養士にしか担えない仕事をわかりやすく解説します。

資格の違いを知ることで、管理栄養士の仕事の価値がよりはっきり見えてきます。

管理栄養士にしかできない3つのこと

管理栄養士にしかできない業務は、次の3つが挙げられます。

①治療の一環としての栄養指導

医療機関では、患者さんの病態や検査値に基づいて食事内容を調整し、治療の一部として栄養指導を行うことが求められます。

この医療行為に位置づけられる栄養指導は、管理栄養士にしか行えません。

栄養士は、健康な人を対象にした食事アドバイスができます。

②特定保健指導

特定保健指導とは、40歳から74歳までの医療保険加入者を対象に行われる「特定健康診査」において、生活習慣病のリスクが高いと判定された人に対して行う指導のことです。

特定保健指導では、対象者一人ひとりの健康状態に応じた食生活改善の指導が求められるため、栄養士では行うことができず、管理栄養士にしかできない業務となります。

③栄養ケアマネジメント

栄養ケアマネジメントとは、利用者一人ひとりの栄養状態を把握し、医師や看護師、介護職と連携しながら、病状や身体機能に応じた栄養ケアを計画・実施・評価することです。

この業務では、病気に関する専門的な知識や、個々の健康状態に応じた対応が求められるため、栄養士では行うことができず、管理栄養士にしかできない業務となります。

管理栄養士の配置が必要な職場もある

特定給食施設のうち、都道府県知事が指定する施設では、管理栄養士の配置が健康増進法で義務づけられています。

つまり、これらの施設では「栄養士だけ」では運営できず、必ず管理栄養士が栄養管理の責任者として勤務していなければなりません。

栄養士が同じ職場で働くことはもちろん可能ですが、最終的な栄養管理・衛生管理の責任を担うのは管理栄養士です。

大量調理の安全性確保や栄養基準の遵守など、施設運営に欠かせない重要な役割を担っています。

実際の現場で感じた、栄養士と管理栄養士の違い

筆者はこれまで、病院や給食施設などで約10年間、管理栄養士として勤務してきました。

職場によっては、日常の仕事内容そのものは、栄養士でも管理栄養士でもそこまで大きく変わらないことも多いです。

ただ、その中でも任される責任の大きさや求められる役割にはしっかり差があると感じます。

たとえば、外部の人への説明や保健所の対応、施設を代表して話をする場面などは、管理栄養士が呼ばれがちです。「管理」のつく資格というだけあって、最終判断や説明役は管理栄養士に回ってきます。

また求人面では特に、その差ははっきりしていて、医療・介護などの現場では「管理栄養士のみ応募可」という募集が珍しくありません。

特に栄養指導が必要な職場では、基本的に管理栄養士が求められます。

現場経験からのイメージは以下の通り。

• 栄養士：食事を“作り・提供する”ことが中心
• 管理栄養士：栄養を“評価し・計画し・改善する”立場

もちろん職場によっては異なりますが、こういった印象です。

給与面に関しては、管理栄養士の方が多く資格手当がつくことが多いですが、その差は数千円～数万円程度の場合がほとんどです。

ただ、昇進のしやすさや、任される範囲の広さ、求人の選択肢などを考えると、現場では管理栄養士のメリットを感じることが多いと思います。

まとめ

栄養士と管理栄養士は、一見すると似た資格に見えますが、現場での責任や仕事内容には違いがあります。

今回は筆者の経験を交え、実際の現場で感じた印象も踏まえて解説しました。

違いを理解したうえで、ぜひ自分のキャリアや働き方に活かしていきましょう。

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