2025/12/05投稿者:スタッフ

特養と老健の違い|仕事内容や特徴を解説

特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)は、どちらも入所型の介護施設ですが、その目的や入居条件、スタッフが担う役割には大きな違いがあります。

 

介護職をはじめ、看護師や管理栄養士など幅広い職種の方が就職先として検討することも多いものの、これらの違いをしっかり理解していないと、「思っていた働き方と違った」というミスマッチが起きてしまうこともあります。

 

そこで本コラムでは、特養と老健それぞれの特徴やサービス内容、働く上でのポイントについて、わかりやすく整理して解説します。

 

 

 

目次

特養とは

老健とは

特養と老健の違い

働くならどっちが向いている?

まとめ

 

特養(特別養護老人ホーム)とは

特養(特別養護老人ホーム)とは、日常生活に常に介護が必要な高齢者が、長期的に生活することを目的とした入所型の介護施設です。

 

食事・入浴・排泄などの生活介助を中心に、利用者ができる限りその人らしく暮らし続けられるよう、介護職や看護職、生活相談員、ケアマネジャーなどがチームで支援します。

 

入所できるのは原則として要介護3以上の方で、重度の介護が必要な高齢者が多く、医療処置は最小限にとどまるのが一般的です。

 

そのため、医療機関での治療やリハビリを目的とする施設ではなく、「暮らしの場」としての役割が強い点が特徴です。

 

また、入所期間に明確な期限はなく、長期的に生活することを前提にしているため、家族との関わりや季節行事、レクリエーションなどの“生活の質”を重視した支援が行われます。

 

利用者とじっくり関わりながら、日常生活の安心と安定を支える施設といえます。

 

老健(介護老人保健施設)とは

老健(介護老人保健施設)とは、在宅復帰を目指す高齢者が、医療ケアやリハビリを受けながら生活するための入所型施設です。

 

病院での治療が一段落し、自宅での生活に戻るための準備期間として利用されることが多く、「生活の場」というよりも“自宅に戻るための中間施設”としての役割が強い点が特徴です。

 

入所できるのは要介護1以上の方で、何らかの医療的ケアやリハビリニーズを抱えているケースが中心です。老健には医師が常勤し、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などのリハビリ専門職が配置されているため、医療管理とリハビリ体制が比較的充実しています。

 

また、老健の入所期間は原則3〜6か月の短期利用が基本で、利用者が自宅で安全に生活できるようになるための支援が日々行われます。介護職は生活援助に加えてリハビリ補助を担い、相談員や看護職と協力しながら、退所支援や在宅サービスの調整なども進めていきます。

 

老健は、医療・リハビリ・介護の連携が特徴の、“生活機能の回復を支える施設”といえるでしょう。

特養と老健の違い

特養と老健は、名前が似ているため混同されやすい施設ですが、目的や入居条件、医療体制などには明確な違いがあります。

 

以下の表では、特養と老健の違いを主要なポイントごとに比較しまとめました。

 

比較項目

特養

老健

目的

生活の場として、長期的な暮らしを支える

在宅復帰を目指し、生活機能の回復を支援

入居条件

要介護3以上が原則

要介護1以上で、医療・リハビリが必要な人

入所期間

長期入所が前提

原則3~6ヶ月の短期利用

医療体制

医療提供は最小限、看護師配置が中心

医師常勤、PT・OT・STなどリハビリ体制が充実

職員配置・仕事内容

生活支援・見守り中心、家庭的ケアが多い

リハビリ支援・医療管理が多職種で行われる

特徴

利用者と長く関われる環境、終の住みかに近い

在宅復帰を目指す短期機能回復施設で入れ替わりが多い

 

名前は似ていますが、目的や提供される内容には大きな違いがあります。その違いを正しく理解しておくことが、施設選びや働く場所を考えるうえでとても重要です。

 

働くならどっちが向いている?

特養と老健では、施設の目的や利用者層が異なるため、求められる働き方にも違いがあります。

 

自分の性格やキャリアの方向性、やりたい仕事のスタイルによって、向いている施設は自然と分かれてきます。

 

特養が向いている人

特養は長期的な生活支援が中心となるため、利用者一人ひとりとじっくり関わりたい人に向いています。

 

  • 利用者と長期間、深い関係を築きたい
  • 生活の質(QOL)を整えるケアに力を入れたい
  • 見守りや日常生活の援助を丁寧に行うのが得意
  • 落ち着いた環境で寄り添う介護をしたい

 

といった方には特養が働きやすいでしょう。

 

看取りケアに関わる機会もあり、“生活の場”ならではのやりがいがあります。

 

老健が向いている人

老健では、在宅復帰に向けたリハビリ支援や医療管理が日々行われるため、動きのある環境で働きたい人に向いています。

 

  • リハビリ支援や機能改善に関わりたい
  • 医療と介護の連携の中で働きたい
  • 多職種チームで積極的にコミュニケーションを取るのが好き
  • 状況の変化がある環境でスピード感をもって働きたい

 

といった方に向いています。

 

短期利用が多いため、退所や在宅支援など、利用者の生活や自立をサポートする業務に興味がある人にも適しています。

 

まとめ

特養と老健は、どちらも入所型の介護施設ですが、目的・入居条件・医療体制・職員の役割などには大きな違いがあります。

 

特養は長期的な生活支援に向いており、利用者とじっくり関わりたい人に適しています。

 

一方、老健は在宅復帰を目指したリハビリや医療管理が中心で、動きのある環境で働きたい人に向いています。

 

働く人や利用者にとって、施設の違いを理解したうえで選ぶことが、満足度の高い環境を見つけるポイントです。

 

メディJOBネクストでは、老健や特養の求人も幅広くご紹介しています。興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

**筆者プロフィール**

株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。